父が亡くなって、もう何年経つのだろう。きっとすごく長い年月が経っているのだと思うけど、
自分の中では父がいた時から、心の中の時は止まっている。
何故、あの時、父を一人ぼっちにしてしまったのだろう、何故もっと父に優しくしなかったのだろう、
何故あの時、何故あの時、何故あの時、とキリが無い位、何かの折にいろいろな後悔が胸をよぎる。
父が亡くなったあの夜、病院を出た時、霧雨の様な細かい雨が降っていた、あの時の光景が今、凄く
胸に浮かんでいる。父が亡くなったのに、私は涙が出なかった。悲しいとか、辛いとか、もう、そういう感情は
通り過ぎて、涙が出なかった。このまま記憶喪失になりたいと何度も思った。父が亡くなった事を受け入れたく
なかった。そうしないと、生きられなかった。記憶喪失になる人は、自分の辛い過去や現在の状況から
自分を守るためになると昔聞いた事がある。辛い記憶や後悔を胸に抱えて生きる程、苦しい事はないと思う程、
苦しい。苦しくて当然だし、苦しくていい。
何故、あんなに大好きで愛しい父との別れがこんな別れなんだと、自分の人生をどれほど、
呪ったかわからない。父は私が良い成績を取ったり、仕事で成功した時は凄く喜んでくれた。
高校生の頃、父は、「お前は東京理科大学に行って、薬剤師になれ‼」と言ってくれた事は今でも忘れる
事が出来ない。私は栄養士になりたかったので、その道には進まなかったが父は私に社会的にも経済的にも
安定した、立派な人間になって普通に結婚もして子供も作って幸せな家庭を作って幸せに暮らして欲しかった
のだと思う。でも、今の自分は、何も無い全くのダメ人間だ。それでも生きている。
今もずっと、自分が死ぬまで、父と一緒に生きていく。父に褒めてもらいたいから、私は頑張る。
頑張って生きて、どんなに苦しくても「ああ!幸せだなぁ‼」と楽しく笑って生きる。
私が幸せだと父も幸せだから。
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